「鼻」について

February 15, 2018

 銀座の形成外科クリニック「リオ・クラニオ・フェイシャル・クリニック東京」菅原康志先生のご依頼により、初めて「鼻」をつくった。

 菅原先生は、頭部・顔面の形成外科として、かなり「造形」的に深く研究しているお医者である。その「造形的にも専門的な人」からの依頼で、しかも、こちらはやったことのない「鼻」のご依頼であった。

 一応、こちらからの提案が先にあっての話だから、断るわけにもいかず、「いやぁぁぁぁ!鼻かぁあ!」と、あらためて人の形の難しさを痛感する仕事であった。。。

 

 「造形作家」であるなどと言いながら、、「やっぱり彫刻はヨーロッパだよなぁ」なんて、弱気もちらほら。。

 

 しかも「鼻」なんぞ、いつもは意識してねぇし。。。

 

 もう少しマンガにしたかったが、「縦で」と言われて逃げ道がなくなった。

 

 この1ヶ月、人に会うたびに鼻を観察、観察。

 特に女性の鼻が良かろうと思ったので、女性に会うと、じっと鼻を見つめちゃったりして、何人かからは「やめてよ!」と実際に怒られながら、嫌われながら、逃げられながら、じっと観察する日々であった。。。

 

 観察を始めて思った事がある。鼻は、その人の、意志、意思、意欲を表すものではないだろうか?ということである。「鼻っ柱」とかいう言葉もある。「鼻息も荒く」とか、「鼻先をくじく」とか、そういう言葉もそれを示してはいないだろうか?                                                                                                

 

 鼻が「立派な」人は、やはり、意志の強さとか、意欲の大きさを感じさせる人が多い。その反対で、鼻が小さい、あるいは、あまり鼻の存在を感じさせない人は、従順、かわいい、などの印象が多いかもしれない。

 また、「つん」とした鼻は、つんとした感じを与え、丸い鼻は、やはり丸い雰囲気を与える。

 

 日本人ではない人の鼻も観察したが、観察対象を拡げるとキリがなくなるので、外国人は、途中でやめた。鼻は、実に個性的なのであった。

 

 

 今回のボクの作品では、そういう観察を元に「いい鼻」をつくったわけではない。ボクが自分の中で展開している「透明岩石シリーズ」の一環として、「見ようによっては鼻にも見える透明岩石」としてつくったものだ。そんな訳なので、上の方は、かなり険しい岩山のようにつくってある。

 

LED照明を組み込んであるので、周囲が暗いと、光りが強く見える。また、今回は、スモークの鏡の前に設置したため、鏡に映ったうしろ姿も不思議な印象を与えることになった。

 

 このような作品制作のご依頼は、実に嬉しい。

 

 今まで意識してこなかったようなものを、じっと観察するようになったし、観察によって、いろいろ考えることも出来た。

 

 「オレは死ぬまで世界を見続けていてぇんだよ」と、葛飾北斎が言った、かどうかは知らないが、尊敬する町絵師・北斎先生なら、こんなご依頼を受けて、どうするだろうか?なんてことも同時に考えた。

 

 実を言うと、今回のご依頼は二つであって、もう一つは、「口」である。

 「口」は「クチビル」というふうに解釈し、「見ように依ってはクチビルにも見える透明岩石の作品」がもう一つクリニックに置かれたのだが、その報告は、次回に譲ろうと思う。

 

 それにしても、自分の仕事を愛している人はいいものだ。

 

菅原先生は、「すき好んで」頭部・顔面の造形を研究する会をつくって、時には彫刻の専門家も招いて粘土造形の勉強会を主催したり、理系のお仕事なのに、感覚的にも常に鍛えている。そういうお医者がいらっしゃる、という事が、実におもしろい。

 

 美術屋・計画屋として、こういう出会いをとても嬉しいと思うのだ。

 

 

(この稿に使用した写真は、菅原先生の撮影したものであるが、一部トリミングなどさせてもらった事をおことわりしておきます)

 

 

 

 

 

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