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謹賀新年はミニ竃から

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年大晦日まで小沼親方と一緒にやっていた「ミニ竃作り」を公開いたします。

 2合炊きの小さな炊飯竃は、左官の小沼親方がすでに開発していたものですが、今回は都内にオープンする飲食店からのご依頼で、新型なのです。

 この炊飯竃は、実に優れもので、熱効率が高いため、強火力で短時間でご飯が炊けます。ということは、ご飯が最高にうまい!!のです。燃料は、最低限の固形燃料を計算してありますので、無駄もなく、炊く手間も、マッチで火をつけるだけ!

とはいえ、新型の開発は、数日程度でできるものではなく、この1ヶ月の間、小沼親方とボクは寒い作業場に何回も合宿作業となりました。そして、年を跨いで、納品まであと少し作業が必要です。細かい細かい配慮がしてあるので、使い方が楽、ってぇことです。今回一緒にやってみて、火力のコントロールの大変さと面白さを改めて痛感しているところです。

 ところで、この親方、ものすごい実力者ですが、人間的にも実に面白いです。

 合宿中は、夜は凍えるような寒さ、明け方の気温も氷点下であるにかかわらず、親方は朝飯の前から仕事を始め、暗いと頭にヘッドライトをつけて、やっています。

 左官の仕事にとって、氷点下(水が凍る)のは大敵であり、避けなければならないことなのですが、親方は韓国製気化灯油のストーブを持ち込み、更に自分で作った練炭用竃も使って暖を取り、これまた自分で作った桐の枝の柄のついた変わった形のコテで作業します。この桐は、この写真の窓の向こうに生えている桐です。

 クルクルと回しながら「ノロ」を塗る時は、陶芸用のロクロも使います。

 今回のご注文は磨きの竃、赤、黒、白の3色なので、白、赤、黒の順で磨いていきます。

 コテも使えず、磨きもできないボクの仕事は、三回の飯の支度、酒の準備、ちょっとしたヤスリがけや細かい筆の仕事くらい。まぁ炊飯の細かいアジャストもやりましたけどね。

 このミニ竃、よくよく考えてみると、一軒の家のようなもので、空気の取り入れ、熱の通り道がよく考えてあり、そして壁自体が断熱性能を持っているので、熱効率は抜群。生半可な建築専門家?の考える家より、よっぽど優秀です。

 小沼親方はしかし、この竃で商売はしたくないらしい。「あまり足を動かしていないから、腹が減らない」「めんどくさい」「もっと大きな壁の方がいい」などと言いながら、やっています。

 さて、どういうものが出来上がるでしょうか?

 このような左官の仕事で新しい年を始められたのは、とても嬉しいことです。また、親方と夜の二人飲み会も楽しい!左官の奥の奥も語ってもらって、いつかこのシャイな本物の職人の仕事を本かなんかに残したい、と思うのでした。

 良い年になりますように!!

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